【注意喚起】ブラック企業が使用するキーワード「アットホーム」の真実

ブラック企業を回避しよう

「アットホーム」という言葉は、職場環境や雰囲気を表す際に良いイメージを与えますが、ブラック企業がこのキーワードを使用するのはどんな理由があるのでしょうか?

会社の募集要項に”アットホーム”という単語を見つけ、社内のふんわりほんわかした雰囲気を想像して入社してみたら、実はブラック企業だった・・・

そんな経験をお持ちの方、すでにその会社でがんばっている方、様々おられるかと思いますが、本当にご苦労さまです。お疲れ様でございました。

私は実際に勤めた企業がブラック企業だったのですが、ちょっと見方を変えれば”アットホーム”と表現されていてもおかしくはないようなことが数々ありましたので、その事実を赤裸々にお話したいと思います。

そして、私の当時のその状況をよくご理解いただくことで、実際にあなたが面接や会社訪問に行かれた際に、その会社がブラックなアットホームなのかどうかを見極めるヒントになればと思います

ちなみに筆者はこんな人物です。

ほくと
ほくと
  • ブラック企業に延べ19年勤務した
  • そのうち10年がいわゆるブラックなアットホーム会社
  • 現在は、数年前に独立し会社経営をしています

私が入社しようとするときに頭の中に描いていた「アットホーム」

「アットホーム」という言葉を使うのはブラック企業の特徴なのか?と質問されると、必ずしもいい切れるわけではありませんが、実際に私がブラック企業に就職する前は、”アットホームな会社”と多少なりとも認識していたのは事実です。

その時に私が認識していたアットホームというのは、

  • 社員同士が親密で仲が良い
  • 気持ちがわかりあえる
  • 経営者との距離感が近い
  • 自分のできないところをはっきりと指摘してくれる  etc…

とそんな感じのイメージを、これから入社しようとする会社に抱いていました。

実際にブラック企業に入社し、感じてきた「アットホーム」のずれ

ちょっと切り口を変えるだけで”アットホーム”の意味合いも大きく変わります。

私が勝手な主観でレベルごとにまとめてみました。

アットホーム レベル1:社員同士が”間違い”や”失敗”を指摘し合う

「素直になりなさい」

まずそのように教えられました。

その会社では普段業務を行う中で、ちょっとしたミスや、ほんの些細なことだけれど「気になること」があったとき、上司や同僚からいやおうなく指摘されます。

そんなときに、

  • そんな細かいこと言うなよ
  • そんなこと仕事に関係ないし

などと心のなかで思う自分を戒め、

「自分の気づかないことを教えてくれてありがとう」

と思いなさい、ということを「素直になりなさい」という表現で社員に教育するのです。

ですから自分自身も、他の社員の行動や言動でちょっと気になることがあると、それは”ほったらかし”にせず「言ってあげないといけない」のです。

先輩社員が気になるのに、後輩社員である私が気づかなかったときには「なんで気付かないの!」と結構な頻度で怒られたりもします。

まさにアットホーム!

親や兄弟など家族でもいいにくいことでも「言ってあげよう」というのがその会社の全社員に向けての教育でした。

たとえば、

  • 電話中に咳払いが多い
  • 電話中に鼻息が聞こえる
  • 口がクサイ
  • 足がクサイ
  • 服がダサい

などなど数え上がればキリがありませんが、現代社会ではヘタしたら「ハラスメント」と言われかねないようなことでも”言われないと本人は気が付かない”から「言ってあげないといけない」というのです。

社員同士は家族以上のお付き合いをするということでまさにアットホームですね!

アットホーム レベル2:社員のプライバシーにも踏み込む

その会社では上司は親以上の存在?!

上司は自分の家族のように厳しく仕事を教えます。仕事ももちろんですが「直属の上司は人生の先輩でもある」とそんな感じでした。

その部分だけを聞くと、すごくいいように聞こえますよね!

でもどうですか?

出身はどこそこで、親は何歳でどんな性格をしていて、実家は持ち家なのか賃貸なのか、自営業なのか会社員なのか、昨日の夜は家に帰ってからなにそれをして、今日は朝起きてご飯をちゃんと食べたのか、彼女とは電話したのか、最近会ってるのか etc…

そんなことまで聞くん?

って思ったそこのあなた!
聞かれるんですよ実際!

ですから私の上司は、私の素性のいろんなことを知っていましたし、それを社長に報告されますから、社長も私の素性を事細かに知っているわけです。

社長にとって、社員は全員家族!まさにアットホーム!

アットホーム レベル3:3ヶ月に1度の表彰式および社員旅行

え!?3ヶ月に1回旅行に行けるの??
いいなーと思ったそこのあなた!

旅行は”楽しいもの”だと思っておられませんか?

私は実際に3ヶ月に一度その旅行に行っていましたが、はっきり言って一度も楽しいと思ったことはありません。

なぜならば、それは旅行ではなく「会社の行事」だからです。

3ヶ月に一度、営業成績のトップを表彰します。
表彰されるのは「トップだけ」です。

ですからトップを取った営業マンだけが”偉くて”あとは以下同文、そんな表彰式なのです。

私は一度もトップを取ったことがなかったので、毎回毎回「あなたは以下同文」の評価をされるために旅行に行っていたわけです。

社員数が増えてくると「以下同文社員」も増えてきますので、以下同文社員同士がなんとなく仲良くなっていきます。
以下同文社員のほうが絶対数が多いですからね。

しかしその会社で「マイナス思考」はご法度

マイナス思考の発言などを見かけられたりすると、アットホームレベル1のように、ガンガンに指摘され怒られることになります。
ヘタをすると後日上司に呼び出され「お前には向上心がないのか、負けて悔しくないのか。そんなやつがトップを取れると思うか?」などとハッパをかけられるというと聞こえはいいですが、弱っているところにさらにムチを打たれたりします。

ですからいかなるマイナス要素があったとしてもそれは言えません。
トップを取る気がないと思われることにもなりかねません。
トップを狙う気のない営業社員はその会社には必要とされません。

ある時、その会社の社長は面白がって、営業成績が上位の社員と営業成績が下位の社員を振り分け、その旅行に行くときのバスなどに差をつけていました。

まるで社内のカースト制度です。

「稼いでいない社員は、稼いでいる社員のおかげで旅行に行けるのだ」

とばかりに、上位の成績の社員は高待遇、下位の成績社員は低待遇というように、あからさまに差をつけることをしていました。

誰も口にはしませんでしたが(誰も好きで旅行に行くんちゃうっちゅうねん)と思っていた社員もたくさんいたことでしょう。

ちょっと話がなそれていってしまいましたがとにかく、

「3ヶ月に1度、全社員を連れて社員旅行!営業成績トップを表彰!」

まさにアットホームですね!
(たぶん経営陣しかアットホームと思っていないと思いますが)

アットホーム レベル4:年に1度は海外旅行(もしくは国内旅行)

え!3ヶ月に1回だけじゃなくて、年に1回は海外旅行にも行けるの?!
うらやましー!

そう思ったそこのあなた、もしうらやましいと思ってくれるのであれば、私の代わりに行って下さい・・・

何度そう思ったことか。

日常業務では週休二日制はあくまでも建て前、実質は週休一日しかない。
その一日しかない休みも上司が仕事に出ていたら呼び出されたり、呼び出されなくても翌日出社したときに、

「他のみんなは休日出勤して頑張っていたのに、お前は休んでいたのか。数字も上がってないくせに。」

と嫌味を言われるのです。

またお盆や年末年始などの大型連休になると、だいたいは世間もそういう空気になってきますので、普通あんまり仕事をしません。
私が勤めていた不動産業界などは「年末年始に家を買う」人は珍しいと思います。

ですから大型連休のすこし前になると必然的に、数字(売上)が上がらなくなってきます。

そうすると数字を上げるためにその大型連休を返上し、仕事に出てくることを強要されていきます。

「おれが休日出勤してんのに、お前はなんで休んでんねん」

と何度言われたことか。

ですからお盆休み、年末年始休暇が近づいてくるまでになんとか数字を上げようと努力はするのですが、経験のある人ならばわかると思いますが、そういう大型連休の前ってだいたいどこも売上が上がってないんです。

ですから本来楽しみであるはずの大型連休が近づいてくると、若干憂鬱になってきます。

「ちゃんと休めるのだろうか・・・」

しかし年に一回の海外旅行はその「年末年始休暇のうちの年始の数日」にあるので、休めるのは確定するのですが、

「休めるときぐらい、家族(彼女)といっしょに過ごしたい」
「まとまった休暇を取れるなら家族(彼女)と遊びに行きたい」

これが本音だと思うんです。

「せっかくの休みをなんで会社の社員とすごさなあかんねん」

普通そう思いませんか?

「だってアットホームな会社なんだから」

(休みの日も家族(ここでは社員)と過ごすわけか・・・)

まさにアットホーム!
従業員は家族!
(そう思っているのは経営陣だけではないですか)

※もし会社案内でこんな写真を見てしまったら、私ならちょっといぶかしげに見ると思います。
(これはフリー素材の写真です)

アットホーム レベルMAX:会社それは「家」

営業で成績を上げるため、トップセールスになるため、夜は遅くまで働きます。

ときには徹夜もします。わたしもオールは何度もしたことがあります。

やることが多すぎてなのか、やりたいことが多すぎてなのかはわかりませんが、私が勤めていたその会社では「徹夜する社員」がゴロゴロいました。

朝一番、家にお風呂に入りに行くだけ、お風呂といってもシャワーするだけだと思いますが、徹夜して働いたということを「美化」している会社でした。

数字が上がっていなかったとしても「徹夜してまで頑張ったのに結果が出ないのであれば仕方ない」とでも言うように、とにかく徹夜が褒められる会社でした。

徹夜する社員はオールする社員もいますが、場合によっては会議室などで「仮眠」したりします。

電車がなくなるまで働くので家に帰れず、電車が動き出すまでの間の「仮眠」もあれば、独身の男性であれば「もう帰るのすらめんどくさい」状態になっている人もいました。

自宅として賃貸マンションを借りていますが、ほぼ帰っていません。

自宅にいる時間は服を着替えるのとシャワーを浴びるだけ。あとは会社にいることになります。

「会社=ほぼ家」

まさにアットホーム!

「うちはアットホームな会社なんです!」
(会社に住んでいるんです)

ということですね!

「アットホーム」以外にブラック企業がよくアピールする特徴ワード

ここまでは「アットホーム」という表現が出てきたときにちょっと注意してその会社を観察してほしいという意味で、その意味を取り違えているブラック企業の実態について説明してきましたが、その説明の中でいくつか「キーワード」がありました。

「アットホーム」という言葉以外でもブラック企業である疑いを持てそうなキーワードをいくつか挙げてみたいと思います。

注:アットホームという表現があれば、ブラック企業確定というわけではありません

キーワード1:自分を成長させる

「会社の成長が自分の成長」

私がそのブラック企業に勤めていたとき、よくこのように発言していました。

現在私は会社を経営していますが、もしもそんな風に言ってくれる従業員がいたとしたらぜひ採用してみたいものです。

よく似たキーワードに、

「自分を高める」
「自己実現」

などもあります。

確かに前向きなメンタルを持っていれば、自分を成長させたいですし、自己実現もしたいと思っています。

ですがそれは、

  • プライベートな時間を削ってでも仕事において成長したいわけではない
  • 自己実現はしたいけれどそれに見合う”給料”もほしい

ということなのです。

いろんなことを犠牲にする代わりに、自分を高めることが出来たり自己実現が出来たとしても、なんにも嬉しくないのです。

でもブラック企業にありがちなのは、他人よりも成長するためには、他人よりも努力しなければならないから、犠牲になるものがあるのは仕方がないと思っているところです。

犠牲にした分だけ、報酬で見返りがあればそれも納得できる部分はあるかもしれませんが、私が勤めていた会社は「夢があればお金はいらない」とでも思っていたのか、営業成績トップの営業マンでさえも会社にもたらした利益の割にはとても安い給料で働いていました。

「夢はお金で買えない」と思うのかもしれませんが、

違うんです。

夢とお金は一体のものであることを忘れないでおきましょう。

キーワード2:若手社員を中心に活躍

「会社の平均年齢が若い」

と聞いたとき、どのように感じますでしょうか。

「長く勤めてるだけのオッサンがのさばっている会社よりいい」

と私も最初そのように思っていました。

いわゆる年功序列の会社で、能力もないのに長く勤めているだけで高い給料をもらっているようなオッサンがいるような会社ではなくて、入社して間もない社員がバリバリと活躍していて、成果をあげればどんどん評価してもらえる、そんな会社で働きたいと入社する時は思っていたのです。

確かに入社する前は、バリバリ働いて活躍する自分自身を妄想し、成果を上げて先輩を追い抜き、出世しまくってそのうち幹部になる、おそらくそんな妄想を若い時は誰しも描くのかもしれません。

実際にバリバリ働いて成績を上げて幹部になっていった同僚もいました。

でも結局いまは当時活躍していたバリバリ社員もほとんどがその会社にはいません。みんな辞めていきました。

ごくひと握りの人が残って幹部をしていますが、ほんとうにごくひと握りです。

かと言って、そのごくひと握りの幹部社員をうらやましいと思うかというと、正直全然うらやましくありません。

理由はいろいろありますが、とにかく「若手社員を中心に活躍」している会社は、自分が若手でなくなってくると活躍の場がなくなっていくのだと思います。

若手社員を中心に活躍できるうちに、ひたすら仕事に打ち込んで修行するためならば、期間限定で頑張るのはいいのかもしれません。

「若手社員を中心に活躍」している会社は、裏を返せば、ベテラン社員は活躍しにくい環境なのではないでしょうか。

キーワード3:高い意識

いわゆる”意識高い系”のことです。

高い意識を持って仕事をすることはとても大切なことだと思います。

自分がヒラの社員だったとしても、経営者の目線で見たときに自分はどうあるべきか、などと考えて日々を過ごせば自分が成長していくのかもしれませんが、私はすでに”高い意識”アレルギーになっています。

”意識高い系”の人と接すると、正直もうしんどいです。
合わないですね。

なぜかと言われると自分でもよくわかりませんが、とにかくもうしんどいんです。

毎日自分が頑張るつもりがないのかと思われるかもしれませんが、きちんと自分の目標もありますし、将来どうなりたいのかということも毎日考えています。

それが意識高いのかもしれませんが、私は意識は高くないです。

とにかく”意識高い系”を全面に出してくる人は、もうダメなんです。キモいと思ってしまいます。

私が変なのかもしれませんが、とにかくキモいです。

過去にそういう経験をしてきた免疫で避けるようになっているのかもしれません。

キーワード4:あなたの手で会社を大きくしてみませんか?

これも私が引っかかったキーワードです。

会社を自分の手で大きくするということは、大きくなったアカツキには・・・

って考えますよね。

もしも会社が大きくなって「上場」したりしたら・・・
その時に自分が役員だったりしたら・・・
上場されたときに株が値上がりして・・・ムフフ

などときっと将来”ウハウハ”では?!と思うはずです。
私もそう考えたクチです。

でもそんなことが本当にあると思いますか?
いや世間にはあるのかもしれませんが、私の経験上で行くと”過度”の期待はしないほうがいいかもしれませんね。

当時の会社を辞めてしまった私は、幹部になっていった人たちが現在どんな暮らしをしているのかも知りません。積極的に知ろうとも思っていませんので、お金持ちになったのかどうなのかあまり興味がなくなってしまったので・・・。

でも仮にお金持ちになっていたとしても全然うらやましくありません。
それはなぜか。
お金持ちになるのと引き換えにいろんな犠牲を払っていたことを私は知っているからです。

その犠牲のうえになりたった”幸せ”を私は求めなかったのです。
私はわたしの”幸せ”を追求していくだけなのです。

「あなたの手で会社を大きくしてみませんか?」

に感化されるそのマインドをお持ちなのであれば、いっそのこと、

「あなたの手で会社を作ってみませんか?」

私はそう思います。

誰かが作った会社に所属して、それについていくというコバンザメ的な精神は、つまるところ会社を大きくしようという精神よりも、会社が大きくなるところについて行ってあわよくばおいしいところをもらおうという精神に近いのだと思います。

それにひっかかってしまうと泥沼に入ってしまいかねません。

であれば始めから、

「自分が起業して会社を大きくするには、今の自分は何をすべきなのか」

を考えるべきでしょう!

私が過去の自分にもし言えるのであれば言ってあげたい言葉です。

まとめ

これまで「アットホーム」というキーワードから推測されるブラック企業の特徴を書いてきましたが、この記事を書いているうちに、そもそも「アットホーム」とは何なのだろうかと思いました。

あまりにもアットホームの定義が広すぎて、アットホームな職場はブラックにもホワイトにもなりうる気がします。

ホワイトなアットホームな職場であれば、望むところなのですが、ほんわかのんびりした職場で満足できる方は、そんなにいないのかもしれませんね。

そこそこの給料でほんわかのんびりした職場で働いていても、なんの刺激もなければ退屈な毎日を送るかもしれません。

だからといってブラックに勤めたいわけじゃないので、適度にがんばれて良い給料がもらえたらそれは最高だと思います。

なので、とにかく転職の際にブラック企業だけは選ばないように、最善を尽くしてもらえればと思います。

できる限り事前に職場の情報を知ることができるようにエージェントに頼むのも1つの方法かと思います。

転職をお考えの方には、良い会社に出会えますよう、心よりお祈り申し上げまして、締めとさせていただきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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