ブラック企業かどうかを見抜く方法3選【求人・採用のとき】

ブラック企業を回避しよう

求人情報やホームページなどの会社情報から、その会社がブラック企業かどうかを見抜くのは至難の業です。

というか出来ないと思いますし、どこがどうなっていたらブラック企業に認定されるのかも難しいと思います。

ですが、私がのべ19年間ブラック企業に勤めて現場で感じた経験を元に、ブラック企業の内側からの視点で”ブラック企業を見破る方法”をお教えしたいと思います。

求人情報から見抜く!

まず初めに求人情報のデータから”見抜く”(というよりも疑いを持つ)ポイントを挙げてみたいと思います。

”人材にこだわる”をやたら強調する

私がブラック企業に勤めていた頃、採用のお手伝いをしたことがあります。
セミナーやグループ懇談にまだまだ新入社員だった私が参加するのです。

そのイベントそのものはセミナー参加者にとっては、現場の職員(しかもまだ新米)の生の感想が聞けるので、とてもメリットのあることです。

しかし会社の目的としては、自社の従業員の声を参加者に聞かせ、その話に”共感できる参加者”(会社の考えに同調してくれる人)を探しているのです。
それはなぜか。

会社の規模や福利厚生など、会社の外見部分で選んでもらうのではなく「会社の従業員」を見て入社したいかどうかを決めてもらいたいのです。

裏を返せば、外見部分で他社と勝負しても、そこにあまり大きな魅力がないから、違う部分で勝負をしているのでしょう。

私が初めて新卒で就職した会社の「福利厚生制度」や「各種手当」などは、はっきり言って上場企業に比べると全然ダメでした。
営業会社でもあったので「営業でそれ以上の報酬を稼げば関係ない」という会社の風土がありましたが、それとこれとは別問題だと思います。

というわけで会社の規模や制度は横へ置いといて、やたらと”人”を強調するところはちょっと半分疑いつつ、検討するのが良いかと思います。

やたらと従業員の活躍をアピールする(だいたい見栄えの良い社員)

先程の項目にも繋がりますが、よく「入社して◯年目」の社員の写真を掲載して、その社員が仕事で電話をしているところとか、お客様に説明をしているところなどの写真が載っていたりしますが、その写真は”やらせ”の可能性がありますのでご注意ください。

私も実際にその写真に掲載されたことがありますが、会社にカメラマンが来て「電話をしているシーン」を撮影したいので、「電話してるふりをしてもらえませんか」と言われます。もしかしたら「誰かに電話してください」というところもあるかもしれませんね。

さすがにお客様や業者に電話をして真面目な電話ではあまり見栄えもしませんので、電話を持ったままカメラマンや他の担当者と喋っているうちに、茶化されたりして笑ってしまうのです。

カメラマンはそのチャンスを逃さずきれいに取ってくれますので、あたかも楽しそうに誰かと電話している写真ができあがります。

「空を見上げながらスマホで電話してる写真」
「天気の良いビルの間を歩く写真」

などなど、それがイコール会社のイメージではありませんのでご注意ください。

やたらと夢を強調する

私の勝手な主観ですが「労働時間が長い」「過酷な仕事」のところほど”夢を強調”しているように思います。(ほんとに勝手な主観なので一人の意見として見てください)

それはなぜか。

夢を追いかけている時は、仕事の時間が長くても、どんなにキツイ仕事でも「夢のためならがんばれる」からです。

「日本一を目指す」
「上場を目指す」
「そんな夢を一緒に追いかけよう!」

と言ったとしても、

「日本一、上場を目指すにはきつくてしんどくて長い時間働かなければならない」
とは言いません。

ブラック企業とあなたが思うかどうかは紙一重ですが、夢のために頑張れる自分なのかどうか一度よく考えてみましょう。
会社の謳い文句にちょっと感化されてどっぷり浸かってしまってからは、なかなか抜け出せないかもしれません。

社内文化を強調する

「風通しが良い文化」ならばとてもいいと思いますが、

「本気になれる環境」
「本気になれる仲間たち」

などを強調してくると要注意かもしれません。

確かに会社の文化は大切ではありますが、業務にばかり本気になって休日返上したり、深夜まで働く文化ですと、自分がその文化に染まらなければ、会社が完全にブラックに見えてくることでしょう。

新卒しか採用しない

新卒、つまりまだどの会社にも就職したことがなく「なんにも染まっていない」まっさらの人です。
会社の色に染めていくにはもってこいの人材です。

へたにヨソの会社でいろんなことを経験されてきては会社の色に染めることが出来ません。

前述の”福利厚生制度”もそうです。

私の経験上、一部上場企業と街の小さな会社とでは福利厚生のレベルが違います。
健康保険も大きな企業になると「健康保険組合」になっていたりして、保養所を共同利用できたり、スポーツクラブに月◯回までは安くなる、などレベルが全然違いました。

「他の会社のほうが給与以外の面でもいろいろと恵まれている」

と思ったりすると、どうしてもその会社がショボく見えてきます。
それ以上に他の部分で魅力を感じる会社ならば別ですが。

なので、何にも知らない、どこの会社の色にも染まっていない”新卒”だけしか採用していない会社はもしかすると少し危険かもしれません。(転職のときにはそもそもそういう会社には巡り合わないですね)

というわけで教訓

面接ではズバリ聞くべし

  • 福利厚生制度はどれくらい充実しているのか
  • 従業員は休日出勤はしていないか
  • 退職金制度はあるのか

「そんなことまで聞くやつはいらない」と言うような会社だったら、こちらから断りましょう。
それこそブラックじゃないですか。

面接で見抜く!

面接は「自分が面接される」ものではありますが、この際こちらから”人事担当者を面接”してやりましょう。

人事担当がやたらと感じが良い

私が勤めていたブラック企業の人事担当者(採用担当者)は対面的にはものすごく感じの良い方でした。
見た目も清潔感であふれ、新入社員であれば「憧れの社会人」に映るような方です。

たとえば会社に問い合わせをしたとき、会社訪問をするとき、その窓口となるのがその採用担当者だったのですが、どれだけしんどくても、ちょっと機嫌が悪かったとしても、とにかく入社希望者の前に出る時は「最高の笑顔」で出ていました。それこそ「プロ意識」がすごく高いというわけです。

当然会社の顔として出ているので、その担当者の振る舞いが会社の印象を決めると言っても過言ではありません。

ですが私の経験上「人事担当者の印象」が「会社の印象・社風」と一致しないことがあるということ、また体外的な”顔”と会社内部での顔がぜんぜん違う場合があるということです。

「入社するまではお客様扱い」
「入社すれば社員扱い」

これは至極当然のことです。

採用担当者が感じが良いからといって、それが会社の全てではないということを覚えておきましょう。

なので、やたらと感じが良い「採用担当者」が出てきた時は、少々いぶかしげに見るくらいでちょうどいいのかもしれません。

時々1年目とか2年目の先輩社員が出てくる

採用の面接の時などに、1~2年目の比較的入社歴の浅い従業員を面接の場所へ呼んで、ざっくばらんにお話することがあるかもしれません。

1~2年目の社員となると、これから入社しようとしている人たちには、ものすごく身近に感じる存在です。その人の話を聞いて判断したい気持ちもよくわかります。

しかし、それも話半分くらいに聞いておきましょう。

人事担当者は当然ですが、面接の場に出しても問題のない入社歴の浅い社員を呼んでいます。もしも会社に否定的な考えを持っている人であれば、絶対に出てきません。ましてや、その会社が「ブラック企業」だと思っているような社員であれば、絶対に呼ばれることはないでしょう。

これから入社を検討する人にとって、最も身近な存在の「入社歴の浅い社員」と話をさせると、よりグッと親近感がわき、入社への意欲が高まってくるのです。

これだけでブラック企業かどうかは見抜けませんが、あまりにみんなが仕事を楽しそうに語っていたとしたら、ちょっと注意して観察しましょう。

労働時間よりもやりがいを強調する

ブラック企業なのかどうかは、本人次第の部分も大いにありますので、これを大前提としてお読みください。

ブラック企業にありがちなのは

「仕事はしんどいけど、毎日が楽しい」
「やりがいを感じているからツラくない」
「会社と一緒に夢を追いかけている」

などなど「労働時間そっちのけ」を平気で言える社員が多いことです。

労働基準法には、労働時間・残業時間等の取り決めがありますが、ブラック企業では、

「その時間内だけでは、求められている結果が出せない」

という理屈で、労働時間・残業時間の決まりは無視して結果を追い求めていくのです。

労働基準法についてゴチャゴチャ言う社員は、そこではやっていけません。
そもそも従業員自身が結果を重視し、労働時間は完全に横においているのです。

そういう状況の場合、会社とともに夢を追いかけ、身を粉にして働いている人たちは、労働基準に違反をしていようが、どれだけ残業していようが、休日がなからろうが関係ないわけです。
それに”やりがい”を感じている人にとってはブラック企業ではなくなるのです。

なので”そっち”を求める方は、むしろ一緒に頑張ればいいと思いますが、実際にその中でやりがいを感じ(?)つつも何年も過ごしてきた私は、とくに家族を持ってからというものの、会社のいう”やりがい”と自分の考える”やりがい”にズレを感じてきたのです。

ある人にとってはやりがいですが、そのやりがいも自分の置かれる環境によって、日々変化していくということです。

労働時間は、長く会社にいようと思えば思うほど重要な要素です。

やりがいはあったほうがいいと思いますが、やりがいだけではないと思うのであれば、極端にやりがいを強調してくる会社は、一歩身を引きながらよく観察するのが良いでしょう。

特徴的な発言から見抜く!

私がブラック企業にどっぷりとハマって働いていたとき、同業他社の人との会話で違和感を覚えることがよくありました。

違和感というのは、自分では「正しい」「かっこいい」「やりがい」のように思って発言していることが、ほとんど大半の人に受け入れられていなかったことです。

それは私が会社にどっぷりとハマっていた(ある種の洗脳かもしれない)からかもしれません。
たとえは少々悪いかもですが、悪徳な宗教にどっぷりとハマっている人に「それは違うよ」と言っても聞き入れられないのとよく似てるかもしれません。

はたから見たら「完全に洗脳されてるな」と思っていても、自分ではそれが正しいことだと思っているのです。

私がその洗脳から放たれて自分を取り戻すまでの間に、信じて疑わなかったことをいくつかお話したいと思います。

経営者のカリスマ性を強調する

私は勤めていた会社の経営者を当時心から尊敬していました。

今はどうか。
一時的とはいえ、お世話になったことに感謝はしていますが、考え方や価値観はぜんぜん違うように感じます。

どっちの価値観が正しいとか、どっちの価値観が良いとかではなくて、これは価値観が違うだけ(違うことに気がついただけ)なので、否定も批判もありませんが、とにかく私は、

「経営者を尊敬していること」
「経営者に一生ついて行きたいと思っていること」
「従業員全員が経営者を崇めていること」

などを、割と発言していました。

それを聞いた同業他社はどんな反応をしていたかというと、なんか少し引いているような反応をしていたように思います。

それはきっと「経営者のカリスマ性」を話していたからだと思います。

たしかに従業員を引っ張っていくには、経営者にカリスマ性は必要かと思いますが、行き過ぎたカリスマ性の強調は、ある種”宗教的な”印象を持たれます。

私もそんな話をしているとよく「なんか宗教みたいやなあ」と言われました。

(なにが宗教やねん)

と内心反発していましたが、そのやり取りの構図はまるで宗教に入信した人と、それをあまり良く思っていない人の会話のようです。

信じて疑わない人にとっては「ブラック企業」ではありませんが、そこまでどっぷりと浸かることを求めないのであれば、経営者のカリスマ性をやたらと強調する会社は、一歩下がってよく観察しましょう。

経営者をとにかく尊敬している

自分自身が100点満点でないように、会社も100点満点の会社はないと思いますが、とにかく何かあれば、社長のエピソードを持ち出し、

「うちの社長は業界を変えようとしている」
「うちの社長は日本一を目指している」

というように、社長の話を持ち出し、私は同業他社にも社長のスゴさを強調し、尊敬していることを話していました。

そのたびにそれを聞く同業他社は「ふーん」とか「へー」とか、話半分くらいしか聞いていない様子でした。

前述の「カリスマ性を強調する」にも深く関わることですが、とにかく経営者を尊敬して疑わない、というのはすこし危険な考えであると今は思います。

100点満点の人間はいないのですから、いくらカリスマ性の高い経営者であっても、欲望に勝てなかったり失敗したりもするのです。

経営者を尊敬することは、従業員にとっては会社に忠誠を尽くすという意味でとても大切なことであると思いますが「行き過ぎた尊敬」を目にした時は、少々身を引きながらよく観察するのが良いでしょう。

社員全員が休みより仕事がオモシロイと思っている

これはある意味良いことであり、ある意味危険な反面を持っています。

休みより仕事が面白ければ、休みなんていらないですよね。

でも本当にそうでしょうか。

仕事はたしかに面白いけど「仕事ばっかりは嫌だ」と思う人のほうが多いのではないでしょうか。

もしも社員の全員が「休みよりも仕事のほうが面白い」と本気で思っている会社であれば、それこそ夢のような会社だと思いますが、本当にそんな会社があるのか?本当にそんな人がいるのか?そんな風に思いませんでしょうか。

私はある企業に入社するときに、従業員が「休みより仕事が面白いと思っている、「休め」と言っても休まずに会社に出てくる」と聞きました。

中には本当にそんな人もいたかもしれませんが、実際に入社して感じたのは、従業員の大半はほとんどが「休みたいけど休める空気ではない」という感じで、イヤイヤ会社に出てるような様子でした。

”休みより面白い仕事”に出会ってみたいと私も思いますが、本当にそんな仕事ってあるのでしょうかね。自分の環境も日を経るごとに、歳を重ねるごとに変わっていきますから、将来は”家族より大事にしたい仕事”があるのかを知ってみたいですね。

そういう仕事はド短期でやってみるのがいいのかもしれません。

まとめ

ブラック企業かどうかは入社してから自分が決めること

途中途中で少し書いていましたが、世の中でいわゆる「ブラック企業」と言われている会社でも、従業員の中には「ブラック企業ではない」と思っている人もいると思います。

ある人にとってはブラックでも、それをブラックと感じなかったり、むしろプラスに考える人がいても全然おかしくありません。

上記はあくまでも私の主観での”ブラック”を見抜くための要素として書きましたが、むしろそんな会社で働きたいと思える方は、私の逆の発想で会社を観察していただければと思います。

信教の自由があるように、どんな会社を選ぶのかは自由です。
(入社できるかどうかは別問題ですが)

人間が外見ですべて判断できないのと同様、会社も外見だけでは判断できませんので、自分が面接されるように、あなたご自身も会社を面接する位の感覚を持って、よく観察してみて下さい。

自分が予期しない会社には入りたくないと思うのですが、実際に入社してみて”違うな”と思ったら、なるべく早く判断するほうがいいと思います。我慢している時間がもったいないです。

洗脳されればブラックではなくなる

私が世間で言うような「ブラック企業」に長く勤めていられたのは、私自身がその会社の考えにどっぷりと浸かっていたから、ブラック企業とは全然認識していなかったのです。

親や友人などは「ブラック企業やん」と言っていましたが、私はそれを全否定していました。

それを数十年たった今、その時の私自身を「ブラック企業に勤めていてかわいそう」と思うかどうかというと「かわいそう」とは思いません。

むしろ「よくがんばっていた」と褒めてあげたいくらいです。

前述にもありましたように、ブラック企業かどうかを決めるのは自分自身であって、周りが決めることではないのです。

ただ世間的に客観的に見てブラック企業かどうかは、大多数の意見を採用するべきかと思います。

わたしがこの記事で長く説明してきたのは、大多数の人が「それはブラックでしょ」という意見をもつであろう内容をエンターテイメント的に説明したわけで、どっぷりハマりたい少数派の意見ではありません、ということを最後に締めくくりたいと思います。

最後までお読みいただき本当にありがとうございました。

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